Story
大きく四つの特性に分かれる「ガルティア能力」を持つ人々と、
彼らが戴く四人の「王」、四つの「国」。
王の庇護下で、個性豊かな文化社会を構築・発展して来た世界に、
ゆっくりと忍び寄る衰退の影。
枯渇し始めた大地とそれぞれの国の思惑。
「王」とは、そして世界の行方とは…。
商業国家・ディアマンテでフリーランスの何でも屋をしている
主人公・シンは、四大国の王が一堂に会する『四大会議』に、
ディアマンテ王の護衛の一人として参加する。
だが、この会議中、他国の王が謎の男に襲撃されるという事件が起こる。
しかも、男はその場に居合わせたシンまで襲ってきた――。
World
- 世界について
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唯一にして最大の面積を持つ大陸(オルデラント大陸)と、ごく小さな島々、それらを取り囲む海で構成される世界。
全人口の98%が、大陸を四分割する形で成立する四つの国…通称「四大国」のいずれかに属しており、それぞれ個性豊かな文化と社会を構築している。 - ガルティア能力について
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ガルティア能力とは、「世界に満ちるガルティア因子に働きかけることで物理法則外の事象(何もないところで火を起こしたり、感情に揺さぶりをかけたり)を起こせる能力」と認識されているが、能力の発現基準や仕組みといった実態に関しては不明な点が非常に多く、長年の研究対象となっている。
能力者は全人口の3%程度で、突出して高い能力を誇る「王」と、基本十二名の「ナンバーズ」を頂点として、以下に語る四種の特性ごとに分けられる集団が基礎となり、四つの民族、さらには四つの国家を形成したのが今の世界である。
「王」と「ナンバーズ」は、国家内でも実質的な支配者階級となっていることが多い。 - ガルティア能力の四種の特性
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能力は全部で大きく四つの特性に分類でき、それがそのまま民族、更には国家という集団となった。
変化応用系の能力が主体のディアマンテ人。
攻撃強化系のバストゥーニ人。
精神感応系のクウォーリー人。
そして、防御強化系のクロイツ人である。 - 「王」という存在
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各特性ごとに一人だけ現れる唯一絶対の者にして、通常の能力者とは一線を画す強大な力を持つのが「王」と呼ばれる存在である。
その時代、その特性内で最も強い力を持つ者こそが「王」となる。
「王」は人為では選ばれず、手に「王紋」と呼ばれる独特の痣が自然と浮かび上がり、それが「王」たる証となる。
「王」には、能力の高さに加えて説明不可能な影響力が備わっており、「王」のいる民族と国は栄え、
「王」不在の国土は荒れるという現象が起こることが分かっている。
四大国
ディアマンテ
オルデラント大陸南西に位置し、四大国で最も発達した技術力を持つ商業国家。
民衆と商人の国と呼ばれ、多様な文化を生み出す活気あふれる国である。
首都は、ダイア。
大陸最大の人口を擁する巨大都市は、国家の中枢たる政府を中心に、
上層部、中層部、下層部の三区画に分けられる。
『陽王』と呼ばれるこの国の王は、表舞台に出てこない謎に包まれた存在である。
バストゥーニ
オルデラント大陸の東に広大な国土を有する大陸最強の国軍を持つ軍事国家。
首都はスペルリード。
王城は堅牢な壁に囲まれ、砦としての機能も持つ。
当代の王は、『黒王(こくおう)』と呼ばれるジークで、
軍の最高司令官も兼任。
近年弱体化していたクロイツの辺境地域を占領下におき、
大陸に戦争の予兆をもたらした。
クウォーリー
大陸の中央、四大国の他三国に囲まれるようにして存在する宗教国家。
首都は、ハーツ。
建国は公的な資料で認められるものでは四大国の中で最も長く、
最盛期には大陸の八割以上の地域を支配下に置いていたこともある。
この大陸における暦を表す「ユーグ歴」は初代クウォーリー王の名前に由来する。
現在は、民衆から熱狂的な支持を受ける『聖王』ラウルスが王として、
教主として、統治している。
クロイツ
大陸北部に位置する、四大国中、最大面積の国土を有する国。
首都はクラグ。
かつては最も豊かなる土地と呼ばれたこともあったが、
十数年前に起きた政争により、当時の王が命を奪われて以来、
新しい王が現れずに、大地の枯渇化が進んでいる。
国力の衰えが著しく、難民流出が止まらない。